小さな手に届いた「大きな勲章」
「今日ね、先生からもらった!」
教室から出てきた娘が、誇らしげに小さな箱を抱えていました。中に入っていたのは、公文式の「高進度学習者賞」のオブジェ。透明なアクリルの中に「国語 高進度学習者」の文字が浮かんでいて、光にかざすときらりと輝きました。
娘は年少から公文に通い続けています。算数と国語の2教科をずっと続けてきましたが、今回オブジェをいただいたのは「国語」。学年を超えて学び続けた証としてのこのオブジェは、彼女の努力の結晶であり、私たち親子の数年間の積み重ねそのものでした。
小さな一歩から始まった「公文のある暮らし」
娘が公文に通い始めたのは、まだ年少の春でした。はじめは鉛筆の持ち方から。ひらがなの「し」と「つ」の違いも曖昧で、1ページやるのに30分かかる日も。
けれど、どんなにゆっくりでも「毎日続ける」ことが公文の基本。最初は「プリントやるのイヤ〜」とぐずることもありましたが、少しずつ机に向かう習慣がついてきました。
年中、年長と進むにつれて、文章の意味を考えることが楽しくなり、読書量も自然と増えていきました。公文の教材が、読解力や語彙力をしっかり支えてくれているのを感じました。
親の本音:送迎と宿題、思わず怒鳴ってしまった夜
公文は、親も一緒に走る習い事です。週2回の送迎は、仕事や兄弟の予定とバッティングする日も多く、急ぎ足で教室に向かうことも多々ありました。
それ以上に大変だったのが、毎日の宿題。どんなに疲れていても、どんなに忙しくても、宿題だけはやらなければならない。娘は一度プリントのミスが続いて落ち込んだことがあり、「もうやめたい」と涙ぐんだこともありました。
こちらもつい声を荒げてしまった夜もあります。
「イヤなら、もうやらなくていい!」
「だって…」
そんな親子バトルを何度乗り越えたでしょうか。それでもやめなかったのは、「続けたら、きっと力になる」と信じていたから。そして、「高進度オブジェがほしい」という娘自身の気持ちが、いつしか強くなっていたからです。
見えてきた“自信”と“言葉の力”
小学1年生になった頃から、娘の中に少しずつ変化が見えてきました。
音読が得意になり、国語のテストでもよく褒められるように。公文のプリントでも、語彙や漢字、長文読解まで、自分で読み取り、答えを書く力がついてきました。
「文章の中からヒントを見つけるんだよ」と話す彼女の表情には、頼もしさがありました。自分の力で問題を解く楽しさを、確かに感じていたと思います。
教室の先生の支え
公文の先生は、娘の変化を見逃さず、折に触れて声をかけてくださいました。
「〇〇ちゃん、よくここまで来たね」
「この教材、高学年の内容だけど、できるようになったんだね」
娘はそれがとても嬉しかったようで、「先生に褒められた!」と毎回報告してくれました。学習のサポートだけでなく、心の面でも子どもに寄り添ってくれる先生の存在は、公文を続ける上での大きな支えでした。
そして、念願の「高進度オブジェ」
ある日、公文の教室から帰ってくると、娘が言いました。
「先生からね、『すごくがんばったから、これあげるね』って渡されたよ!」
それが、あのオブジェでした。透明な素材の中に、「国語 高進度学習者賞」と書かれたそのオブジェは、ずっしりと重く感じ、その重さは娘の大きな達成感を表しているようでした。
「やっともらえた! パパとばぁばに写真送って!!」
そう言ってニコニコしながら机に飾る娘の姿に、思わず私も胸が熱くなりました。
親として感じたこと:信じる力と、見守る難しさ
この数年間、「やらせる」か「任せる」か、そのバランスに悩み続けてきました。
親が先回りしすぎても子どもは伸びない。けれど、放っておくだけでは習慣も自信も育たない。正解のない日々の中で、試行錯誤しながら進んできたように思います。
「こんなの詰め込み教育じゃないか」
「娘がかわいそう…」
夫婦で意見が分かれて大喧嘩をした日もありました。
でも、念願のオブジェを受け取った娘を見て、「ああ、続けてよかった」と心から思えました。そして、娘自身が「努力はちゃんと報われる」という実感を得られたことが、何よりの宝物です。
ゴールではなく、ここからまた一歩
オブジェは一つの節目ですが、決してゴールではありません。むしろ、ここからが「自分で学ぶ」力の始まりなのかもしれません。
娘は今も、算数と国語、両方のプリントに取り組み続けています。新しい教材に挑戦しながら、「次は算数でもオブジェをもらう!」と意気込んでいます。
親として、これからも支えながら、でも少しずつ手を離しながら、娘の成長を見守っていきたいと思います。
おわりに
小さなオブジェは、静かに輝いています。けれど、その輝きの中には、毎日の積み重ね、涙と笑い、ぶつかり合った日々、そして親子の信頼がぎゅっと詰まっています。
「継続は力なり」――この言葉の意味を、あのオブジェが私たちに教えてくれました。
そして、オブジェを頂く姿を間近で見ていた年中の弟。
「ぼくも絶対もらいたい!!」と意気込んでいます。
長女が「オブジェが欲しい!目指す!」と言い出した時、本当にこんな日が来るなんて、正直信じられませんでした。でも、長女が目標を達成してくれたおかげで、息子にも目標ができたと同時に息子の目標が達成する日はちゃんと現実味をおびています。
これからも母ちゃんがんばろう♪